サムライ 4


 こうして戦場は、ふたたび日本に移された。……が、懸念されたとおり、観に行けないでいる間に、次々と上映が終わっていく。謙さんがアカデミー賞に洩れ、いよいよ上映館がなくなってしまうころになって、ぼくはなんと昼間、映画館に出かけるという壮挙に出た。そうして、ついに昨年来の念願を果たしたのだった。映画館で映画を観たのは、あのときの『ゴジラ』以来か……。
 映画のなかで、謙さんは大きく見えた。体がトム・クルーズより大きいからではない。存在感があるのだ。真田広之? もちろんよかった。
 英語については、ちょっと上手すぎて、なぜ明治初頭の武士があんな英語をしゃべれるの、という声があがるくらいだ。細かい抑揚については、ここはこうではないか、という点もいくつかあったが、そんなことは日本語のセリフでもある。次はバットマンの準主役らしいが、こちらはまったくのアメリカ映画。英語もさらにこなれてくるに違いない。


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