ヒンドゥの巨人 5


 前後を二台ずつの護衛で囲まれた車のなかで、アショク・シンガルは、ヒンドゥイズムや、サイババとの体験について語り続けた。
 彼は、12年に一度、全国から数百万ともいわれる巡礼者を集めて行なわれる「クンバメーラ」 の行なわれる地の出身だ。そこでシンガル少年は、数多くのヨーガ行者、聖者、賢者らに出会ってきた。そうして、現在は毎朝3時に目覚め、4時間近くをかけてヨーガの体操、呼吸法、マントラ、プージャ(ヒンドゥの宗教儀式)を行なう。そうした宗教的な人格が、クンバメーラで醸成された。
 旅の途中、VHPの幹部が、一つのプージャをキャンセルしたことがある。バンガロールで行なわれるシュリ・シュリ・ラビシャンカールのプージャを、スケジュール上の都合か、あるいは警護上の都合かでキャンセルしたのだった。だが、このプージャにはバジパイ首相やカンチープラムのシャンカラチャリア(ヒンドゥ教の、いわば大僧正)も出席する予定で、アショク・シンガルもそのつもりでいたのだった。
 彼は言った。
「プージャ(儀式)は、他の予定よりも優先するべきだ。他のどんなことより大切なのだ!」


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