私の系譜 12


小学校5年まで、ほとんど何も考えることなく友だちと遊び惚けていた私が、
6年生になって自分に課したこと、
それは、毎日12時より前には寝ないということだった。
それまで、夜8時には眠りに就くように躾けられていた私の、
これが最初の、親に対する反抗であったかもしれない。
しんしんと夜が更けていくなか、一人で勉強していると、
経験したことのない世界が目の前に拡がった。
それは、まだ若くて健全だった子供の感性が触れることのできた、
この世界の神秘といっても過言ではなかった。
ときに私は、夜中の12時を過ぎ、
1時、2時、3時の深夜を探検した。
すると、これに気づいた父が起きてきて、私を叱る。
理路整然とことの愚かさを説いてもらえれば、私にも理解できたかもしれない。
しかし、生来口数の多くない父は、ただ怒っているように見えたので、
私はさらに反発して、とうとう夜通し起きて勉強するような愚挙に出た。
父にしてみれば、息子が自分の言うとおりにしないことに、
大いにいらだちを感じていたに違いない。
あるいは、自分のなかの、内心ではよいとは思っていない面が、
息子にそのまま現れてきているのをみて、慄然としたのかもしれない。
実際それは、彼自身のDNAが……


人生のある時期、その子に発現しただけのことだった。
こうした少年期の過ごし方が、
結果的には将来の力を大きく損なうことになっていったのであるが、
そんな当たり前のことが、当時の私には分からなった。


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