インドの旅6


医師はやおら、こう語った。
「今、あなたがいるあの地域は、とにかく田舎なんですよ」
田舎・・・。
その意味ではどこもだいたい同じに思えたが、彼は顔をしかめるようにしてそう言ったのだった。
「そしてあそこには、〇〇〇〇〇がいる(この部分の発音がよく聞き取れなかった)。
彼らは草むらや林に潜んでいて、突然現れ、人を噛むんです。すると・・・」
そう言って医師は、ついさっき撮影した私の手を、パソコン画面に映し出した。
鮮やかに映えるその画像を田舎に住むインド人が見れば、科学技術の粋を見たと思うだろう。
そして科学の粋を集めたこの医師が主張した原因というのは、結局、
「虫刺され」であった。
「これを私は証明したい。そのためには、ぜひとも血液を採取し、検査に回したいのですが・・・」
この言葉に、私は震え上がった。
ここで血液を採られた日には、新たに何かの病気に感染してもおかしくない。
それは、虫刺されのようなものとは次元の違う話であるに違いないのだ。
仮に運良く感染を免れたとしても、私の友人は、
さんざん使い回されて先がなまくらになった針を無理やり刺されたものだから、
何年経ってもその痕が消えないのである。
その上、さらに医師が続けた言葉を聞いて、私はほとんど気を失いそうになった。
「結果が出るには一カ月かかります。待てますか?」
(待ちます!)
こうして私は、この一見用務員風の医師のおかけで、
これからさらに一カ月、インドに滞在することになる・・・


ところだったのである。


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