メールマガジン<プレマ通信>

青山圭秀エッセイ  バックナンバー

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最新号 (第115号 2018年8月8日配信)

『女神との出会い』

南インド、ポンディチェリの村で千年以上にわたり信仰されてきた女神。
彼女は祭りの朝、寺院を出、とある家系の小さな祭壇にお入りになると、
その家系の誰かに降りておいでになるという。
その日、女神は寺院を出て、小さな祭壇にお入りになった。
日本からの巡礼団は、外で楽隊による盛大な音楽と踊りを堪能していたが、
伝令がやってきて、五人だけ中に入れてよいという。
敬虔な人びとの集まりのなかで五人を選ぶのは難しかったが、
なかに一人、躊躇なく選んだ方がいた。
地方の都市から遠路参加されていたというだけではない。
彼女・Mさんのことは、この日の祭りを私がお捧げすることになった
シヴァ神の予言のなかに示唆されていたのであった。
『これから困難な情況に入ろうとしている弟子がいる。
その者は、そのことに気づいていない……』
書かれていたとおり、病は働き盛りのご子息に速やかに忍び寄り、
大きな商家が傾きかけるほどの大事に発展したのだった。
本来、こうして旅行においでになれるような情況ではなかったにもかかわらず、
Mさんの信仰は、文字通り万難を排してインドの地へと彼女を導いた。
彼女は、小さな祭壇の前で僧侶が唱えるマントラを耳にする前、
設えられていた女神像を目にするや、感涙にむせんだ。
このとき、家系に伝わる予言が今年も成就し、一人の男性に神が入った。
突然声を上げ、体が硬直して倒れそうになったので、周囲が彼を抱き抱えた。
呼吸は荒く、人間の体に神が入ることに順応する時間が必要なようだ。
ほどなくして落ち着いてきたが、
その眼差しは、いまだ神がそこにおられることを明瞭に示していた。
神に入られたその人なのか、その人に入った神なのか……
彼はしばし周囲を見回すようにしていたが、
やがてMさんに視が止まった。彼女をじっと見つめ、おもむろに口を開く。
『聞きたいことがあれば、聞きなさい……』
急いで、通訳してくれる人を呼ぶ。意味を知るや、Mさんは躊躇うことなく問うた。
「私の今生の使命について、お教えください」
答えは、即座に返ってきた。
『おまえのことはわたしが守っているから、心配はいらない。
物事は成就していく……』
そうしてさらに、具体的な指示をお与えになったのだった。

この日、私にはそれとはまた別の“指示”が与えられた。
『次に新しい瞑想の技術を習う人のために、
瞑想の基礎をもう一度教えるのが望ましい』
そう私に告げたのは、降りてこられた神ではなく、予言の読み手である。
以前より探していた予言の章がこの日新たに見つかり、
その一部が私に伝えられたのであった。
 
女神に捧げる盛大な一日の祭りの、それらは始まりにすぎなかった。
その後私たちは女神像をふたたび寺院にお戻しし、長いプージャに与った。
貧しい人びとに昼食を振る舞い、夜、今度は女神像を山車にお乗せした。
楽隊と芸人が繰り出し、私たちも大きな掛け声をかけながら山車を引き、
あるいは一人ずつ山車に乗り、夜遅くまで祝いの品々を
村の人びとにお配りするという光栄に浴することとなった。
十年前、これに参加したとき、興奮は朝まで収まらなかった。
今回は一緒に高揚してくれる仲間たちがいて、
それがまた、私にとってこの上ない喜びになったのだった。